ドバイ「ザ・ワールド」とは?世界地図型人工島の基本【図解あり】
1-1 260の人工島で構成された壮大なプロジェクト
ドバイのザ・ワールドは、260の人工島で構成された世界最大規模の人工島群です(*1)。ザ・ワールドの基本構成と規模は以下の通りです。
| プロジェクト項目 | 数値 |
|---|---|
| 島の総数 | 260島(ギネス認定) |
| 全体面積 | 54 km²(9km × 6km) |
| 島のサイズ範囲 | 23,000~86,000 m² |
| 島間隔(平均) | 100 m |
| 防波堤の長さ | 27 km |
| 新海岸線 | 232 km |
| 使用砂量 | 3.21億 m³ |
| 使用岩石量 | 3.86億トン |
| 本土からの距離 | 約4 km |
出典:Nakheel公式(2023年)、Guinness World Records
ギネス世界記録にも認定されたこのプロジェクトは、各島が23,000平方メートルから86,000平方メートルの広さを持ち(*2)、アフリカ・ヨーロッパ・アジアなど7つの大陸を模した配置で設計されています。
建設には3億2,100万立方メートルの砂と3億8,600万トンの岩石が使用され(*3)、232キロメートルにおよぶ新たな海岸線を生み出しました。各島は平均100メートルの間隔で配置され(*4)、上空から見ると世界地図の形が浮かび上がる壮大なデザインとなっています。
プロジェクトの開発元はドバイの大手不動産開発会社Nakheelで、27キロメートルにわたる防波堤が島々を波や潮流から保護する構造となっています。この人工島群は、ドバイ本土から約4キロメートル沖合に位置し(*5)、ドバイの海洋開発技術の象徴として世界的な注目を集めました。
大手不動産開発会社Nakheelについてはこちらで解説しています↓
1-2 2003年開始、総面積9km×6kmの規模
ザ・ワールドの建設は、2003年5月にシェイク・モハメッド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥームによって正式に発表されました(*6)。発表からわずか4カ月後の2003年9月には浚渫作業が開始され(*3)、プロジェクトは急ピッチで進められました。
全体の面積は9キロメートル×6キロメートルに及び(*1)、これは東京ドーム約192個分に相当する広大な規模です。2008年1月10日には最後の防波堤の石が設置され、島々の基本構造が完成しました。Nakheelは2014年3月に全260島の構造的完成を公式に発表し(*5)、各島が建物開発の準備段階に入ったことを明らかにしています。
しかし構造完成から10年以上が経過した現在も、大部分の島は未開発のまま残されています。建設当初は2010年代前半までに全島の開発が完了する計画でしたが、後述する金融危機の影響により、プロジェクト全体の進行は大幅に遅れることとなりました。
1-3 各島は世界の国や地域を模した配置
各島はアフリカ・ヨーロッパ・アジア・北アメリカ・南アメリカ・南極・オセアニアという7つの大陸グループに分けられ、それぞれの大陸内で具体的な国や地域を表現する配置となっています(*4)。このデザインはドバイのCreative Kingdom社によって設計されました。
7大陸グループとその主要な国・地域表現は以下の通りです。
開発状況: 2016年時点で完全未開発
特徴: 2026年現在も大部分が放置状態
開発状況: ハート・オブ・ヨーロッパ(2021年~稼働中)
特徴: 最も進行中の大規模開発エリア
開発状況: 2016年時点で完全未開発
特徴: 2026年現在も未開発のまま
開発状況: 限定的な開発
特徴: 比較的未開発エリア
開発状況: アナンタラ・リゾート(2021年開業)
特徴: 初の本格的リゾート開業エリア
開発状況: 未開発
特徴: 象徴的配置のみ
開発状況: 2016年時点で完全未開発
特徴: 2026年現在も未開発のまま
出典:Nakheel公式、AX Capital「The World Islands: The Grand Revival」(2024年9月)、Arabian Business(2025年9月)
上空から見た際に世界地図として認識できるよう、各島の形状と配置が緻密に計算されています。例えばヨーロッパエリアには地中海諸国を模した島々が配置され、アジアエリアには日本やインドネシアを象徴する島が含まれています。この独創的な配置により、宇宙からも視認可能な規模の芸術作品として計画されました。
各島は個別に所有・開発されるため、島ごとに異なる建築様式やコンセプトが実現可能な設計となっています。この柔軟性がプロジェクトの魅力である一方、後述するように開発進捗の大きなばらつきを生む要因ともなりました。
人工島は完成した?2026年現在の開発状況

2-1 各島は個別オーナー制で販売
ザ・ワールドの各島は、Nakheelによって個別に販売される独立した不動産物件として位置づけられています(*1)。2008年までに全体の60%にあたる約156島が、民間投資家や企業に販売されました(*7)。所有形態はフリーホールド、つまり完全所有権で、100%の外国人所有が認められています(*8)。
島の販売価格は公式には非公開となっており、購入を希望する場合はNakheelまたは認定ブローカーへの直接問い合わせが必要です。一部の不動産リスティングでは、400,000平方フィート規模の島が7,500万AED(約30億円)で提示されている事例もありますが、島のサイズや位置によって価格は大きく異なります。
購入者は島の土地のみを取得し、建物開発は各オーナーの責任で行う必要があります(*6)。Nakheelは島の構造、つまり砂の盛り土と基礎のみを提供し、その後の設計・建設・維持管理は全て所有者が負担する仕組みです。この仕組みが、後述する開発の大幅な遅れと格差を生む主要因となりました。
2-2 260島のうち稼働中は約10島のみ
2014年3月時点でNakheelは全260島の構造完成を発表しましたが(*5)、実際に建物が建設され稼働している島は極めて限定的です。2026年現在、実際に稼働中または建設中の島は約10島で、全体のわずか3.8%程度にとどまっています(*10)。主な開発エリアは以下の通りです。
| ステータス | 島数 | 比率 | 主要エリア |
|---|---|---|---|
| 🟢 稼働中 | 2島 | 0.8% | レバノン島(ビーチクラブ)、クラレンス島(アナンタラ) |
| 🔵 建設中 | 8島 | 3.0% | ハート・オブ・ヨーロッパ(ホテル・ヴィラ建設中) |
| 🔴 未開発 | 250+島 | 96.2% | アフリカ、アジア、北米、オセアニア大陸グループ全域 |
| ⚠️ 2013年時点:開発済2島 → 2016年:9島 → 2026年現在:約10島(停滞) | |||
出典:Arabian Business「Dubai’s World Islands show signs of revival」(2025年9月)、Nakheel公式
レバノン島のビーチクラブが2012年から営業を開始し(*11)、2021年12月にはアナンタラ・ワールドアイランズ・ドバイ・リゾートが70室規模で開業しました(*12)。ハート・オブ・ヨーロッパでは6島にわたる大規模開発が2021年から段階的に進行中です。
一方、アフリカ・アジア・オーストラリア・南アメリカの各大陸エリアは、2016年時点で完全に未開発のままでした。2026年現在もこの状況はほぼ変わっておらず、大部分の島が空き地として放置されています。
この開発率の低さが、ザ・ワールドが未完成プロジェクトと呼ばれる最大の理由となっています。
未完成の真実|リーマンショック後に起きたこと
3-1 2008年の金融危機で開発が完全ストップ
• ステップ4:6年間(開発停滞期間)
• ステップ5以降:現在まで継続(17年以上)
出典:Archinspires「Dubai’s Developing Man-made Islands」(2023年2月)、Dubai Voice「The Science Behind Dubai’s Artificial Islands」(2025年6月)
2008年1月に最後の防波堤が完成し(*3)、ザ・ワールドの基本構造が整った直後、世界的な金融危機が発生しました。同年9月のリーマンショックによりドバイの不動産市場は急激に冷え込み、ザ・ワールドの開発は事実上完全にストップしました(*13)。
すでに60%の島が販売済みでしたが(*7)、多くの購入者が資金繰りに窮し、建設計画を中止または無期限延期せざるを得なくなりました。2008年から2014年までの約6年間、大部分の島では開発活動が行われず、砂だけが積まれた状態で放置されました。
この期間中、ドバイ全体の不動産価格は最大で50%以上下落し、投資家の信頼は大きく損なわれました。ザ・ワールドも例外ではなく、当初の華やかな計画は野心的すぎた失敗プロジェクトとして国際メディアで報じられることとなりました。金融危機の影響は予想以上に長期化し、2010年代を通じてプロジェクトの再始動は困難な状況が続きました。
3-2 オーナーごとに開発スピードが異なり10年以上の格差
ザ・ワールドの開発が遅れた主要因の一つは、各島のオーナーが独立して開発を進める仕組みにあります(*6)。Nakheelは土地の造成のみを担当し、建物の設計・建設・資金調達は全て個別オーナーの責任となるため、オーナーの資金力や開発意欲によって進捗に大きな差が生じました。
実際の開発状況を見ると、レバノン島は2012年に施設を開業した一方(*11)、ハート・オブ・ヨーロッパは2014年1月に建設を開始し、当初は2016年完成予定でしたが実際には2020年代にずれ込みました(*14)。この時間差だけで8年以上の格差が生じており、2026年現在も開発に着手していない島が大半を占めています。
さらに開発者間の法的紛争も進捗を妨げました。ハート・オブ・ヨーロッパの開発会社Kleindienstは、Nakheelとの契約をめぐる訴訟を2013年5月に1億6,900万ドル(約253億5,000万円)で和解しましたが、この紛争により約5年間の開発遅延が発生しました。
このように、個別オーナー制というシステム自体が、プロジェクト全体の統一的な進行を困難にする構造的問題を抱えていたのです。
3-3 稼働中はレバノン島とハート・オブ・ヨーロッパのみ
2026年現在、実際に一般客が訪問可能な稼働施設は限られています。実際に営業している施設の詳細は以下の通りです。
| 施設名 | 所在島 | 大陸グループ | 開業年 | 客室数 | ステータス |
|---|---|---|---|---|---|
| ロイヤル・アイランド ビーチクラブ |
レバノン島 | ヨーロッパ | 2012年 | 8室 | ✅ 稼働中 |
| アナンタラ・ ワールドアイランズ ドバイ・リゾート |
クラレンス島 | 南米 | 2021年12月 | 70室 | ✅ 稼働中 |
| vocoドバイ・ モナコ |
ハート・オブ・ ヨーロッパ内 |
ヨーロッパ | 2023年頃 | TBD | ✅ 稼働中 |
| vocoドバイ・ ニース |
ハート・オブ・ ヨーロッパ内 |
ヨーロッパ | 2025年12月 | 264室 | ✅ 開業 |
| 合計:約4施設、約342室以上 / ハート・オブ・ヨーロッパはさらに複数ホテル建設予定 | |||||
出典:Gulf Business「Anantara World Islands Dubai Resort」(2021年12月)、Hotel and Catering News ME「VOCO DUBAI NICE」(2025年11月)、Nakheel公式
最も早く開業したのはレバノン島のロイヤル・アイランド・ビーチクラブで、2012年から8室規模で営業を開始しました(*11)。企業イベントやプライベートパーティー、一般向けデイビジットに利用されています(*6)。
2021年12月18日には、アナンタラ・ワールドアイランズ・ドバイ・リゾートが南アメリカエリアのクラレンス島に開業しました(*12)。Minor Hotelsが運営するこの5つ星リゾートは70室の客室・スイート・ヴィラを備え、ザ・ワールドで初めての本格的な国際ブランドホテルとなりました。
ハート・オブ・ヨーロッパでは6島にわたる大規模開発が進行中で、2021年から段階的にホテルが開業しています(*10)。2025年11月にはvocoドバイ・ニースが建物完成証明書を取得し、同年12月1日に264室で開業しました(*15)。開発会社Kleindienstは、残りのホテル全てを2025年末までに着工し、2027年までに完全完成を目指すと発表しています(*10)。
一方、2024年に発表されたアマリ島は24棟のヴィラを建設中で、2027年完成予定となっています。これらを合わせても稼働中または建設中の島は10島程度にとどまり、250島以上が依然として未開発の状態です。
ザ・ワールドが抱える3つのリスク|沈没・浸食・維持費

4-1 島が沈む可能性:砂の浸食と海面上昇の影響
ザ・ワールドの人工島は、海底から浚渫した砂を積み上げて造成されていますが、この構造には長期的な沈下リスクが指摘されています。ドバイのビーチでは毎年10,000から15,000立方メートルの砂が浸食により失われており(*16)、人工島も同様の影響を受けています。
パーム・ジュメイラの建設により、海洋堆積物が40キロメートル以上移動したという調査結果もあり、人工島の建設が自然の海流を変化させることで、予期せぬ砂の移動や浸食が発生する可能性があります。ザ・ワールドの島々も、砂が徐々に海中に戻っていく現象が報告されています。
さらに砂地の圧縮により、年間数ミリから数センチメートルの地盤沈下が進行する可能性も指摘されています。物流会社ペンギン・マリンは測定データをもとに沈下リスクを主張しましたが、Nakheelはこれを否定し、法廷でNakheelが勝訴しました。しかし専門家の間では、長期的な地盤安定性に対する懸念は完全には払拭されていません。
加えて、気候変動による海面上昇も懸念材料です。IPCCの報告によれば、排出シナリオによっては2300年までに海面が3メートル以上上昇する可能性があり(*17)、標高の低い人工島は浸水リスクに直面する可能性があります。
4-2 維持管理費は所有者負担
ザ・ワールドの島を所有する場合、維持管理費用は全て所有者の負担となります。開発会社は具体的な維持費用を公表していないため、正確なコストは非公開です。
| 費用カテゴリ | 最小額 | 最大額 | 日本円換算 | 主な内容 |
|---|---|---|---|---|
| インフラ整備 ・維持管理 |
$200k | $500k | 3,000~ 7,500万円 |
道路、埠頭、防波堤の維持 |
| ユーティリティ (水・電・廃棄物) |
$250k | $900k | 3,750~ 1億3,500万円 |
海水淡水化、電力、ゴミ処理 |
| スタッフ 人件費 |
$600k | $1.8M | 9,000~ 2億7,000万円 |
管理人、技術者、他スタッフ |
| セキュリティ ・警備 |
$80k | $200k | 1,200~ 3,000万円 |
セキュリティシステム、警備員 |
| 年間合計 | $1.13M | $3.4M | 1.7億~51億円 | 島の規模・開発状況による大幅変動 |
出典:Biya Pay「What Does It Really Cost to Own a Private Island in 2025」(2026年1月)、プライベートアイランド運営データ
一般的なプライベートアイランドの維持費用は、年間8万ドルから90万ドル(約1,200万円から1億3,500万円)の範囲とされています(*18)。主な費用項目として、インフラ整備と維持管理に年間20万ドルから50万ドル(約3,000万円から7,500万円)が必要で、これには海水淡水化設備や電力供給システムの運用コストが含まれます。
水道・電力・廃棄物処理などのユーティリティ費用は、年間25万ドルから90万ドル(約3,750万円から1億3,500万円)に達する場合があります。ザ・ワールドのような海上の島では、全ての資源を本土から運搬またはオンサイトで生成する必要があるため、通常の不動産よりも大幅に高額になります。
さらにスタッフの人件費として年間60万ドルから180万ドル(約9,000万円から2億7,000万円)、セキュリティシステムと警備員の配置に年間8万ドルから20万ドル(約1,200万円から3,000万円)が必要です。
これらの費用は島の規模や開発レベルによって変動しますが、ザ・ワールドの島を所有する場合、少なくとも年間数千万円規模の維持費を想定する必要があります。
4-3 転売市場の流動性リスクが高い
ザ・ワールドの島は、一般的な不動産と比較して転売市場の流動性が極めて低いという課題を抱えています。プライベートアイランドや超高額不動産は、購入希望者の数が限定的であり、売却までに長期間を要するケースが一般的です(*19)。
投資顧問会社Mercerの報告によれば、流動性の低い資産を急いで売却する場合、純資産価値から10%から30%のディスカウントを余儀なくされることが多いとされています(*19)。セカンダリーマーケットでの売却は可能ですが、大幅な価格譲歩が必要となります。
さらにザ・ワールドの島は、譲渡制限や長期のロックアップ期間が設定されている場合があり、買い手が見つかっても公正な価格での売却が困難なケースがあります。不動産投資ファンドの中には、市場環境が悪化した際に償還を一時停止する仕組みを持つものもあり、投資家が現金化を希望しても実現できないリスクが存在します。
特にザ・ワールドのような未完成プロジェクトでは、大部分の島が未開発のまま放置されているため、投資家の信頼が低く、出口戦略の選択肢が非常に限定的です。購入前には、売却に数年単位の時間を要する可能性を十分に考慮する必要があります。
実際に稼働中のエリアと物件価格|ハート・オブ・ヨーロッパ(The Heart of Europe)など

5-1 ハート・オブ・ヨーロッパは2023年から本格稼働

ハート・オブ・ヨーロッパは、ザ・ワールドの中で最も大規模な開発プロジェクトです。開発会社Kleindienstが6つの島にわたって進める総額60億ドル(約9,000億円)の事業で、20のホテルと5,000室以上の客室を計画しています(*20)。
最初に開業したのはvocoドバイ・モナコで、続いて2025年11月にvocoドバイ・ニースが建物完成証明書を取得し、同年12月1日に264室で開業しました(*15)。Kleindienstは2025年末までに残り全てのホテルを着工し、2027年までに全施設の完成を目指すと発表しています。
資金調達方法も特徴的で、プロジェクト資金の50%はKleindienst自己資本、残り50%はオフプラン販売による顧客からの前払い金で賄われており、銀行融資には依存していません。この手法により、金融機関の審査や市場変動の影響を受けにくい開発が可能となっています。
施設にはヨーロッパの各国をテーマにしたデザインが採用され、地中海沿岸の雰囲気を再現したリゾート体験が提供されています。ハート・オブ・ヨーロッパは、ザ・ワールドで初めて本格的に稼働し始めたエリアとして、今後のプロジェクト全体の再活性化の試金石となる存在です。
5-2 Floating Seahorse:水中ヴィラの価格帯は3億円超

ハート・オブ・ヨーロッパの中でも特に注目を集めているのが、Floating Seahorse、つまりフローティング・シーホースと呼ばれる水上ヴィラです。125棟から147棟が計画されており、3階層構造の独創的なデザインが特徴です(*21)。
ハート・オブ・ヨーロッパ内の主要物件タイプと価格帯の比較は以下の通りです。
| 物件タイプ | 単位面積 | 価格帯(AED) | 価格帯(日本円) | 期待ROI |
|---|---|---|---|---|
| 🏨 ホテル客室 (キャップレート投資) |
1室単位 | 500M~ 1M AED |
2~4億円 | 8.33% (固定保証) |
| 🏠 スタンダード マンション |
1-2BR (100-150㎡) |
1.5M~ 2.5M AED |
6~10億円 | 6~8% (予想) |
| 🏛️ ラグジュアリー ヴィラ(通常) |
3-4BR (250-350㎡) |
3M~ 5M AED |
12~20億円 | 5~7% (予想) |
| 🌊 Floating Seahorse (水上ヴィラ) |
4BR相当 (372㎡) |
2.1M~ 3.3M AED |
8.4~ 13.2億円 |
5~6% (18~22年回収) |
| 💡 注:ホテル客室は12年保証ROI対象(Kleindienst運営)。その他は自己運営またはリースの場合のROI予想値。 | ||||
出典:Kleindienst Group公式、Off Plan Properties Dubai、Superyachts.com「Dubai’s Floating Seahorse Villa」(2025年10月)
各ユニットは最低4,004平方フィート、約372平方メートルの広さを持ち、地下階が海中に沈んだマスターベッドルーム、海面階がリビングとキッチン、上階が屋上デッキという構成になっています。海中ベッドルームからは、窓を通して海洋生物を観察できる設計となっています。
販売価格は2025年時点で330万ドル(約4億9,500万円)とされていますが(*22)、2024年の別の情報源では2,107万8,000AED以上(約8億4,312万円以上)という高額な価格帯も報じられています(*23)。この価格差は、ユニットのサイズや内装仕様の違いによるものと考えられます。
投資収益については、年間5%から6%のROIが期待され、投資回収期間は18年から22年と見込まれています。支払いプランは予約時に40%、建設期間中に40%、引き渡し時に20%という分割方式が提供されています。
水中居住という独特のコンセプトは、富裕層の間で高い関心を集めています。
5-3 ホテル・リゾート運営の実績と稼働率
ハート・オブ・ヨーロッパの開発会社Kleindienstは、すでに開業したホテルについて、強い稼働率・収益成長・ゲスト満足度を達成していると発表しています(*24)。ただし具体的な稼働率データは公表されていないため、ドバイ全体のホテル市場データを参考にする必要があります。
ドバイ全体の2025年1月から8月のホテル平均稼働率は78.5%で、前年同期比で3.0ポイント上昇しました(*25)。特に5つ星ホテルセグメントは4.1ポイントの成長を記録し、ドバイで最も好調なカテゴリとなっています。ハート・オブ・ヨーロッパもこの高級セグメントに位置するため、市場平均並みの稼働率を達成している可能性があります。
投資家向けには、ホテル客室への投資に対して年間8.33%の純ROIを12年間保証するオファーが提供されています。これは、投資家がホテル客室を購入し、その客室の運営をKleindienstに委託することで、安定した収益を得られる仕組みです。
ドバイのホテル市場は2025年のピーク旅行シーズンに向けて堅調な成長を続けており、ザ・ワールドのような特別なロケーションを持つリゾートは、差別化された体験を求める富裕層から高い需要が見込まれています。
ザ・ワールドの投資価値|日本人が知るべき利回りと出口戦略

6-1 期待利回りは年5-8%程度(稼働エリア限定)
ザ・ワールドへの投資において、実際に収益が見込めるのは稼働中のエリアに限定されます。
ハート・オブ・ヨーロッパのThe Artist Hotelでは、投資家向けに年間8.33%の固定ROIを12年間保証する条件が提供されています(*26)。この保証付き投資スキームは、Kleindienstが運営を担当し、投資家は客室オーナーとして定期的な配当を受け取る仕組みです。
Floating Seahorseのような水上ヴィラについては、年間5%から6%のROIが期待されています。一方、ドバイ全体の不動産市場における平均的な賃貸利回りは、2024年時点で5%から9%の範囲とされており、特に高パフォーマンスエリアでは7.5%から11%を記録しています(*27)。
ザ・ワールドの稼働エリアは、こうしたドバイ市場の平均的な利回り水準に近い投資収益を提供していると考えられます。ただし、未開発の島を購入して自ら開発する場合、建設コスト・維持費・テナント確保のリスクを全て負担する必要があり、投資収益の実現には長期間を要します。
投資判断においては、稼働済み物件への投資と未開発島への投資を明確に区別する必要があります。
ドバイ不動産投資の基本的な始め方については、こちらで詳しく解説しています↓
6-2 出口戦略が限定的で売却に時間がかかる
ザ・ワールドへの投資における最大の課題の一つが、出口戦略の選択肢の少なさです。プライベート市場の資産は、通常の不動産と比べて流動性が低く、売却に長期間を要することが一般的です(*19)。
流動性が必要な場合、純資産価値から10%から30%のディスカウントでの売却を余儀なくされることが多いとされています(*19)。セカンダリーマーケットは売却の選択肢として存在しますが、大幅な価格譲歩が必要です。
また、不動産投資や不動産ファンドの一部では、譲渡不可能な条件や長期のロックアップ期間が設定されている場合があり、買い手が見つかっても公正な価格での売却が困難なケースがあります。市場のパフォーマンスが低迷している時期には、不動産ファンドの償還が一時停止されることもあり、投資家が現金化を希望しても実現できないリスクがあります。
ザ・ワールドの場合、大部分の島が未開発のままであり、プロジェクト全体の将来性に対する不透明感が強いため、転売市場での需要は極めて限定的です。購入を検討する際には、最低でも5年から10年以上の長期保有を前提とし、短期間での売却は困難であることを理解しておく必要があります。
視察方法とアクセス|ドバイ本土からの行き方

7-1 ボートまたはヘリコプターでのアクセスのみ
ザ・ワールドへのアクセスは、陸路での接続が一切なく、ボート・ヨット・ウォータータクシー・ヘリコプターのいずれかに限定されています(*28)。ドバイ本土から約4キロメートルの距離にありますが、橋や道路は建設されていないため、公共交通機関でのアクセスは不可能です。
ハート・オブ・ヨーロッパの宿泊客向けには、パーム・ジュメイラから出発するウォータータクシーサービスが提供されており、所要時間は15分から20分です。このサービスは予約制で、リゾート宿泊者専用となっています。
プライベートボートやヨットでアクセスする場合、ドバイマリーナやその他のマリーナから出発することが可能ですが、事前に目的地となる島の所有者や運営者から許可を得る必要があります。ヘリコプターでのアクセスは、ドバイ警察アカデミーのヘリポートから利用可能で、富裕層向けのプレミアムオプションとして提供されています。
アクセスには沿岸警備隊の承認が必要な場合があり、天候条件によってはボートサービスが中止されることもあります(*29)。訪問を計画する際には、必ず事前に交通手段を確認し、予約を完了しておくことが重要です。
ドバイマリーナからのアクセスについて、エリアの詳細はこちらで解説しています↓
7-2 視察ツアーの予約方法と費用の目安
ザ・ワールドを視察する最も一般的な方法は、レバノン島へのデイトリップツアーに参加することです。現在はモアナ島として運営されており、ツアー料金は1人あたり280AED(約11,200円)から500AED(約20,000円)で(*30)、ビーチアクセス・食事クレジット・ボート送迎が含まれています。
プライベートヨットをチャーターする場合、1時間あたり3,000AED(約12万円)から8,000AED(約32万円)が相場とされており、グループでの利用に適しています。ヘリコプターツアーは1人あたり1,500AED(約6万円)から2,500AED(約10万円)で、早期予約が推奨されます。
ハート・オブ・ヨーロッパのリゾートに宿泊する場合、1泊1,000AED以上(約4万円以上)から設定されており、宿泊客には島へのアクセスが含まれます。予約は各ツアーオペレーター・リゾート公式サイト・旅行代理店を通じて行うことができます。
ツアーの催行状況は天候に左右されるため、特に冬季の風が強い時期には中止となる可能性があります。視察を計画する場合は、複数日程の余裕を持つことが推奨されます。
投資検討者向けには、不動産会社が手配するプライベート視察ツアーも利用可能ですが、詳細は個別に問い合わせが必要です。
FAQ|ドバイ ザ・ワールド よくある質問
- Qザ・ワールドの島は今でも購入できる?
- A
一部の島は現在も購入可能です。
所有形態はフリーホールドで、100%外国人所有が認められています。ただし価格は非公開のため、Nakheel公式または認定不動産ブローカーへの直接問い合わせが必要です。
一部のリスティングでは、400,000平方フィート規模の島が7,500万AED(約30億円)で提示されている事例もあります。ハート・オブ・ヨーロッパの高級ヴィラやマンションを購入する選択肢もあり、こちらは完成済み物件のため、すぐに投資収益を期待できます。
- Qザ・ワールドの投資で利回りはどれくらい?
- A
稼働中のエリアでは、年間5%から8.33%のROIが期待できます。
ハート・オブ・ヨーロッパのホテル客室投資では、12年間にわたり年間8.33%の固定ROIが保証されています。Floating Seahorseは年間5%から6%のROIとされ、投資回収期間は18年から22年です。ドバイ全体の不動産市場では、平均的な賃貸利回りが5%から9%の範囲であり、ザ・ワールドの稼働エリアはこの水準に近い投資収益を提供していると考えられます。
- Qザ・ワールドの島が沈むリスクは本当?
- A
砂の浸食と地盤沈下のリスクは存在します。
ドバイのビーチでは毎年10,000から15,000立方メートルの砂が失われており、人工島も同様の影響を受けています。砂地の圧縮により、年間数ミリから数センチメートルの地盤沈下が進行する可能性も指摘されています。
また気候変動による海面上昇も懸念材料で、IPCCによれば2300年までに海面が3メートル以上上昇する可能性があります。
まとめ|人工島への投資判断3つのチェックポイント
ザ・ワールドへの投資を検討する際には、3つの重要なポイントを確認する必要があります。
第一に、稼働中のエリアと未開発エリアを明確に区別することです。260島のうち稼働中は約10島のみで、投資収益が期待できるのはハート・オブ・ヨーロッパやアナンタラ・リゾートなど、すでに営業している施設に限定されます。未開発の島への投資は、開発リスクと長期的な不確実性を伴います。
第二に、長期的な流動性リスクを理解することが重要です。ザ・ワールドの資産は転売市場での流動性が極めて低く、売却には数年単位の時間を要する可能性があります。急な現金化が必要な場合、純資産価値から10%から30%のディスカウントを余儀なくされることも考慮すべきです。
第三に、環境リスクと維持費用を精査する必要があります。砂の浸食や地盤沈下、海面上昇といった長期的なリスクが指摘されており、年間数千万円規模の維持管理費用が発生します。
これらのコストとリスクを十分に理解した上で、5年から10年以上の長期保有を前提とした投資判断を行うことが推奨されます。
▶︎ ドバイのもう一つの代表的な人工島「パーム・ジュメイラ」について知りたい方はこちらもどうぞ
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出典元
- *1 Nakheel:「The World Islands (March 2023)」
- *2 Guinness World Records:「Largest archipelago manmade」
- *3 The Dubai Voice:「The Science Behind Dubai’s Artificial Islands (June 2025)」
- *4 AX Capital:「The World Islands: The Grand Revival (September 2024)」
- *5 PropSearch UAE:「World Islands – Dubai (December 2025)」
- *6 Big Think:「The World (Under Construction)」
- *7 Bloomberg:「Dubai Billionaire’s Children Plan to Revive Troubled World Islands (May 2024)」
- *8 Dubai Plots Sales:「Investment Deal-Multiple Private Islands for Sale (October 2025)」
- *9 Atlas Obscura:「The World Islands in Dubai (September 2016)」
- *10 Arabian Business:「Dubai’s World Islands show signs of revival (September 2025)」
- *11 Travel Weekly:「Royal Island Beach Club – Dubai」
- *12 Gulf Business:「Anantara World Islands Dubai Resort to open this month (December 2021)」
- *13 Archinspires:「Dubai’s Developing Man-made Islands: The World Archipelago (February 2023)」
- *14 Gulf Business:「Dubai Starts Work On Huge Resort On The World Islands (January 2014)」
- *15 Hotel and Catering News ME:「VOCO DUBAI NICE Building Completion Certificate (November 2025)」
- *16 Tomorrow.city:「What happened to Dubai man-made islands? (April 2024)」
- *17 IPCC:「Chapter 4: Sea Level Rise and Implications for Low-Lying Islands (October 2019)」
- *18 Biya Pay:「What Does It Really Cost to Own a Private Island in 2025 (January 2026)」
- *19 Mercer:「Navigating liquidity challenges within private markets (December 2025)」
- *20 Arabian Business:「Dubai’s Heart of Europe to see all remaining hotels under construction (August 2025)」
- *21 Metropolitan Real Estate:「The Floating Seahorse (October 2022)」
- *22 Superyachts.com:「Dubai’s Floating Seahorse Villa: Yours for $3.3 Million (October 2025)」
- *23 Off Plan Properties Dubai:「Kleindienst Group Floating Seahorse Dubai (September 2024)」
- *24 CBNME:「Kleindienst Group Completes Construction Of Nice Hotel (March 2025)」
- *25 Cavendish Maxwell:「5-Star Sector Leads Dubai Hotel Growth (October 2025)」
- *26 Abu Nahyan Real Estate:「What Happened to World Islands Dubai? (June 2025)」
- *27 DXB Properties:「A Guide to Understanding ROI and Rental Yields in Dubai (June 2025)」
- *28 Provident Estate:「The World Islands Dubai | Area & Community Guide (December 2025)」
- *29 Viator:「All-Day or Evening Access to The World Islands in Dubai (October 2025)」
- *30 Desert Leap Safari:「The World Islands: Dubai, Ticket Price, Things to Do, Tour (June 2025)」
- *31 KAYAK UK News:「Staying up to date on the Dubai World Islands」



