ドバイにカジノができる?UAEの最新動向をわかりやすく解説

1-1 ドバイでカジノが合法化される可能性はどのくらいある?

ドバイ自体でのカジノ合法化は現時点で実現していませんが、UAE連邦レベルでの商業ゲーミング規制が整備されています。

2023年9月3日にUAE連邦商業ゲーミング規制局が設立され、カジノ運営を監督する公的機関が誕生しました(*1)。この動きにより、UAE国内でカジノが合法的に運営できる法的枠組みが確立されたのです。

現在の規制では、各首長国に対して1つのカジノライセンスのみが発行される方式が採用されています。ドバイ首長国がこの枠を使用するかは未定ですが、隣接するラスアルハイマ首長国が2024年10月にUAE初の商業ゲーミングライセンスを取得しました(*2)。

ドバイ中心部から車で約45分の距離にあるため、実質的にドバイ居住者もアクセス可能なカジノが誕生することになります(*3)。ライセンスの有効期間は発行日から15年間と定められており、長期的な事業展開が可能な制度設計になっています。

1-2 イスラム圏で初めてカジノ容認に至った社会的背景

UAEがカジノ容認に踏み切った背景には、経済多角化戦略があります。

UAE政府は2024年に観光戦略2031を発表し、2031年までに観光業のGDP貢献額を4,500億AED(約18兆円)、ホテル宿泊客数を4,000万人に引き上げる目標を掲げました(*4)。この野心的な計画を実現するため、従来のビーチリゾートや商業施設だけでは不十分と判断されたのです。

UAE観光業のGDP貢献額推移(2019-2024年)

出典:UAE経済省: 「Tourism Sector Indicators in 2024(2025年10月)」、Arabian Business: 「UAE tourism sector reaches $70.1bn GDP contribution(2025年9月)」

2024年の統計では、観光業はすでにUAEのGDPの13%を占め、2,573億AED(約10.3兆円)の経済貢献を果たしています(*5)。この数値は2023年と比較して3.2%増加し、パンデミック前の2019年と比べると26%も高い水準です。国際観光客の支出も2,173億AED(約8.7兆円)に達し、前年比5.8%増、2019年比では30.4%増という好調な伸びを示しました。

石油依存からの脱却を加速させるには、さらに強力な観光誘致策が必要でした。カジノを含む統合型リゾートは、高所得層の観光客を呼び込み、滞在日数を延ばす効果が期待されています。


UAE初の合法カジノリゾート「ウィン・アルマルジャン島」とは

2-1 総投資額51億ドル|2027年開業予定の統合型リゾート全貌

ウィン・アルマルジャン島は、総投資額51億ドル(約7,905億円)をかけて開発される大規模統合型リゾートです(*6)。

プロジェクト関連費用だけで40億ドル(約6,200億円)が投じられ、土地代や金融費用を除いても巨額の投資となっています(*2)。この規模は、ラスベガスやマカオの主要カジノリゾートに匹敵する水準です。

施設の構成は、ホテル客室とスイート合わせて1,542室を擁し、そのうち297室がスイート、6棟のタウンハウス、22棟のヴィラが含まれます。ダイニング施設は22のレストランとラウンジ、小売スペースは15,000平方メートル、会議スペースは7,500平方メートルが確保されています。

開業予定は2027年3月が目標とされています(*7)。2025年8月時点で70階建てタワーは61階まで建設が進んでおり、雇用も2025年4月に80名が採用され、年末までに約300名の体制を目指しています。

2-2 世界的カジノ運営企業「ウィン・リゾーツ」の実績と戦略

ウィン・リゾーツは、ラスベガスとマカオに高級カジノリゾートを展開する世界的企業です。

2025年第3四半期の業績では、総営業収益が18.3億ドル(約2,837億円)に達し、前年同期の16.9億ドル(約2,620億円)から増収となりました(*9)。純利益は8,830万ドル(約137億円)を計上し、前年同期の3,210万ドル(約50億円)の赤字から大幅に改善しました。

地域別の業績を見ると、マカオ事業は収益10億ドル(約1,550億円)で利益率30.8%を達成し、ラスベガス事業は収益6.21億ドル(約963億円)で利益率32.8%という高収益を実現しました(*10)。

財務健全性も高く、2025年9月時点でのグローバル現金および回転信用枠の利用可能額は47億ドル(約7,285億円)に達します。ラスアルハイマのジョイントベンチャーではウィン・リゾーツが40%の株式を保有する構造です。

2-3 ドバイ中心部からのアクセス方法と周辺環境

ドバイからラスアルハイマまでの距離は道路で約107〜130キロメートルで、所要時間は交通状況により45分から1時間半程度です(*3)。国際線到着後の移動も比較的容易です。

主要ルートはシェイク・モハメッド・ビン・ザイード・ロードまたはエミレーツ・ロードを経由し、その後シェイク・モハメッド・ビン・サレム・ロードに入ってアルマルジャン島に到達します。

アルマルジャン島自体は、4つのサンゴ礁型人工島で構成されています。島全体は4.5キロメートルにわたってアラビア湾に延び、総面積270万平方メートルの埋立地です。7.8キロメートルの美しい砂浜が島全体を囲んでおり、リゾート開発に適した環境が整っています。

ドバイ中心部から1時間以内という立地は、ドバイに滞在する観光客や駐在員が日帰りまたは週末旅行でカジノリゾートを訪れることを可能にします。


ウィン・アルマルジャン島の施設詳細|客室・カジノ・レストラン

3-1 5つ星ホテル並みの客室とスイートルームの特徴

ウィン・アルマルジャン島の宿泊施設は、合計1,530室の客室とスイートで構成されています(*11)。

ウィン・アルマルジャン島 客室構成詳細
客室タイプ 室数 面積目安 主な特徴
標準リゾート客室 1,217室 40〜60㎡ アラビア湾ビュー・プライベート前室
エンクレーブ・スイート 297室 74㎡〜 最上階・専用エントランス・6種類の間取り
ロイヤルアパートメント 2室 約1,486㎡ 最上級・専用プール・専用ビーチ
ガーデン・タウンホーム 4棟 200㎡〜 独立型・プライベートガーデン付
マリーナ・エステート 10棟 300㎡〜 マリーナ直結・ヨット停泊可能
合計 1,530室/棟 全室プライベートエントランス・床から天井まで大窓

出典:Wynn Resorts Newsroom: 「Wynn Al Marjan Island Presents the First Look at Its Resort Tower Guest Rooms(2025年4月)」、AGB Gaming: 「Wynn Al Marjan Island releases first renderings of uber-luxury Enclave suites(2025年7月)」

最上階に位置するエンクレーブ・コレクションは、313室の専用スイートからなる特別なゾーンで、6種類の異なる間取りが用意されています(*12)。キングスイートは800平方フィート(約74平方メートル)から始まり、最上級のロイヤルアパートメントは16,000平方フィート(約1,486平方メートル)という広大な空間を提供します。

客室構成の内訳は、上記の表の通り標準リゾート客室が1,217室、エンクレーブ・スイートが297室、ロイヤルアパートメントが2室、ガーデン・タウンホームが4棟、マリーナ・エステートが10棟となっています。すべての客室にはプライベートエントランスの前室が設けられ、床から天井までの大窓からアラビア湾の景色を一望できる設計です。

エンクレーブ・コレクション専用の設備として、独立したプライベートエントランス、専用プール、専用ビーチが完備されています。

3-2 カジノフロアの規模とエンターテインメント性

カジノエリアのメインフロアは225,000平方フィート(20,900平方メートル)の広さを持ち、建物全体の総床面積の4%を占めるに過ぎません(*2)。

この控えめな比率は、カジノ単体ではなく総合リゾートとしての価値を重視する設計思想を反映しています。さらに22階にはスカイゲーミングカジノと呼ばれる追加のゲーミングスペースが設けられ、眺望を楽しみながらプレイできる特別な空間となっています(*13)。

カジノの配置も工夫されており、リゾート内を移動する際にゲーミングエリアを通過せずに各施設にアクセスできる動線が確保されています。これにより、カジノに興味のない家族連れや一般観光客も快適に滞在できる環境が整えられています。

エンターテインメント施設としては、毎晩開催されるレーザーと光のショー、劇場、ナイトクラブ、ビーチクラブなどが併設されます。

3-3 高級レストラン・バー・リゾート施設の魅力

ダイニング施設は22店舗のレストランとラウンジで構成され、うち2店舗がすでに発表されています(*14)。アラン・デュカスが手がけるフレンチアメリカン・ステーキハウスは2フロアに広がり、総面積1,820平方メートルの大型レストランです。もう一つのデリラ・サパークラブは2,060平方メートルの空間で運営されます。

リゾート施設としては、5つ星スパと隣接するサロン、12のプール、全長420メートルのプライベートビーチ、101隻のバースを持つマリーナが整備されます(*14)(*15)。マリーナは最大85メートルのスーパーヨットまで対応可能です。

ショッピングプロムナードは12,000平方メートルの広さを持ち、世界トップクラスのラグジュアリーブティックが出店予定です。イベントおよびセレブレーションセンターは7,708平方メートルの面積を確保しており、大規模な国際会議やビジネスイベントの誘致も視野に入れています。


カジノ解禁がドバイ経済に与える影響とは

4-1 年間数千億円規模の経済効果|観光客数と雇用創出の見込み

UAEのゲーミング市場全体の規模は、投資銀行の予測によると年間30億ドルから50億ドル(約4,650億円から7,750億円)に達する可能性があります(*17)(*18)。ウィン・アルマルジャン島単体でも、保守的な試算で年間13.3億ドル(約2,062億円)の総ゲーミング収益が見込まれています。

ラスアルハイマの観光客数は、カジノ開業により2030年までに430万人から960万人へと大幅に増加する目標が設定されています。雇用面では、ウィン・リゾート単体で7,000人以上の直接雇用が創出され、周辺ビジネスを含めると数千人規模の追加雇用が期待されています(*20)。

2025年10月時点ではウィン・リゾートが101のポジションを募集しており、魅力的な給与水準が提示されています。

UAEの通貨制度と投資環境の安定性について、こちらで詳しく書いています↓

4-2 高級ホテル市場の構造変化|統合型リゾートがもたらす競争激化

ラスアルハイマのホテル客室供給は、2030年までに7,427室の新規確認案件に加え、さらに5,000室以上の検討中プロジェクトがあり、現在の8,321室から約16,000室へと拡大する見込みです(*19)。一方、ドバイのホテル在庫は2025年8月時点で818ホテル、152,300室に達しており、そのうち5つ星および4つ星ホテルが合計97,500室で全体の64%を占めています(*21)。

ドバイの客室稼働率は2025年1月から8月の平均で78.5%を記録し、前年比3.0%増加しました。特に5つ星ホテルは前年比4.1%の稼働率上昇を見せており、高級ホテル市場の好調さを示しています。2025年下半期には19の新ホテルが5,000室以上を追加し、2026年には新規供給の61%が高級セグメントとなる見込みです(*22)。

この急速なホテル供給増加により、高級ホテル市場での競争が激化することは避けられません。


不動産投資のチャンス|注目エリアと将来性

5-1 カジノ開業で注目される投資エリアとは

カジノ開業により、ラスアルハイマではアルマルジャン島周辺が最注目の投資エリアとなります。

2027年のカジノ開業を皮切りに、年間観光客数が2024年の128万人から2030年の350万人へ急増すると予測されており、それに伴い必要とされるホテル客室が現在の8,000室から20,000室へと倍増する計画だからです(*8)。

投資機会としてまず注目されるのは、アルマルジャン島内の高級レジデンスです。世界的カジノ企業ウィンの傍で、富裕層向けの住宅やサービスアパートメントの需要が急増すると見込まれます。これに加えて、ラスアルハイマ首長国内には関連施設用地の開発機会も広がっています。30社以上のデベロッパーがアルマルジャン島周辺でプロジェクトを立ち上げており、商業施設や従業員向け住宅の開発が見込まれるなど、多層的な投資チャンスが生まれています。

さらに見逃せないのは、周辺インフラ関連エリアの価値向上です。ドバイから約45分というアクセスの良さにより、利便性の高い立地が投資価値を高めると見込まれます。

市場の多角化戦略により、中国、西ヨーロッパ、インド、CIS諸国など多様な地域からの国際観光客を呼び込む計画(*8)であり、これらの外国人投資家や居住者向けの物件需要が向こう5年間で急速に高まると見込まれます。

ドバイ不動産投資の基本について、もっと詳しく知りたい方はこちらで詳しく書いています↓

5-2 価格上昇が見込まれる不動産市場の動向

ラスアルハイマの不動産市場は、カジノ開業による需要増を背景に、記録的な価格上昇を見せています。

2025年第1四半期の実績では、住宅価格が前年比39%増加し、アパートは平均1平方フィート1,684AED(約6.7万円)に達しました(*24)。この上昇は単なる一時的なトレンドではなく、ウィン・リゾート周辺の特にアルマルジャン島エリアでは第1四半期時点で71%増という驚異的な伸びを記録しており、需要の集中を示唆しています(*25)。

今後の価格上昇はさらに加速することが見込まれます。2025年第3四半期(1月~9月累計)の取引実績では、4,121件のオフプラン取引が総額82億AED(約3,280億円)で成立し、全取引の84%を占めました(*27)。これは投資家からの買い需要が非常に高いことを示しています。

供給面では、2025年~2030年に約19,300戸の新規住宅ユニットが計画されていますが、多様な地域からの観光客増加により、需要が供給を上回る状況が続くと予想されます。

年間家賃更新時の値上げが政府規制により上限10%に制限されているため、物件購入による資産増価が安定的な賃料収入と相まって、投資効率を高めると見込まれます。


FAQ|ドバイ・UAEカジノについてよくある質問

Q
UAEでカジノが正式に合法化されるのはいつ?
A

UAEでは2023年9月3日にUAE連邦商業ゲーミング規制局が設立され、商業ゲーミング規制の法的枠組みが確立されました。

ウィン・リゾーツは2024年10月にUAE初の商業ゲーミング事業者ライセンスを取得しており、すでに法的には合法化されています。実際のカジノ開業は2027年3月予定で、この時点から一般利用が可能になります。

Q
ドバイで外国人もカジノを利用できるようになる?
A

詳細な入場資格規定は2025年11月時点で公開されていませんが、ウィン・アルマルジャン島は国際統合型リゾートとして位置づけられており、外国人観光客や駐在員をターゲットにしています。

UAE刑法第355条では賭博が禁止されていますが、GCGRAライセンスを取得した施設内でのゲーミングは合法化される方向で整備が進んでいます。具体的な年齢制限や国籍要件などは、開業に向けて段階的に発表される見込みです。

Q
カジノ開業で不動産投資はどう変わる?
A

カジノ開業により、ラスアルハイマの不動産市場は劇的に変わります。

2027年開業に向けて観光客は年間128万人から350万人へ増加する見込みで、それに伴いホテル客室需要が急増し、周辺の住宅・商業施設開発が加速します。アルマルジャン島周辺では既に価格が前年比71%増と急騰しており、年間家賃上限10%の規制により賃料収入も安定しています。カジノプロジェクトの透明性と長期成長性により、ラスアルハイマはドバイ次の不動産投資先として急速に注目を集めています。


まとめ|UAEカジノ時代に向けた投資家の次の一手

ウィン・アルマルジャン島の2027年3月開業により、ラスアルハイマの不動産市場は大きな転換点を迎えます。

年間観光客数が2024年の128万人から2030年に350万人へと増加する見込みで、それに伴いホテル客室数は2030年に約16,000室、2032年には25,000室へと拡大する計画です。この需要増に対応するため、従業員向け住宅、商業施設、物流インフラなど関連産業全体の開発が加速することが見込まれます。

既に2025年第1四半期の住宅価格は前年比39%増加し、アルマルジャン島周辺では71%増という顕著な上昇を見せています。

投資家にとって重要なのは、この成長期待を背景に、複数のデベロッパー案件を比較検討し、デベロッパーの実績や供給パイプラインの過剰性を精査することです。年間家賃上限10%の政府規制により賃料収入は安定しており、キャピタルゲインと合わせた投資効率が高まる環境が整っています。

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