ドバイで法人を設立する仕組みを図解でわかりやすく解説

1-1 ドバイの法人設立はフリーゾーンとメインランドの選択から始まる
ドバイで法人を設立する際、最初に決定すべきはフリーゾーンとメインランドのどちらで登記するかという選択です。
フリーゾーンとは経済特区を指し、ドバイには30以上の区域が存在します(*1)。代表的なものとして、1985年設立のジェベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)、2002年設立のドバイ・マルチ・コモディティ・センター(DMCC)、1996年設立のドバイ・エアポート・フリーゾーン(DAFZA)があります。
一方、メインランドは一般市場での営業を指します。2021年の連邦政令第32号により、メインランドでも100%外資所有が可能となりました(*2)。従来は51%のUAE国籍者の出資が必須でしたが、この規制は撤廃されています。現在、ドバイ政府は1,000以上の商業・工業活動において100%外資所有を認めています。
フリーゾーンは国際取引に特化し、メインランドはドバイ国内での営業が可能です。2025年10月に施行されたドバイ行政評議会決議第11号により、フリーゾーン法人がメインランドで営業できるフリーゾーン・メインランド営業許可制度も導入されました(*3)。
この制度により、フリーゾーン法人は構造化された許可を通じてメインランドでの事業展開が可能となっています(*3)。
1-2どちらを選ぶべきか?事業特性に応じた選択基準
フリーゾーンとメインランドの選択は、事業内容とターゲット市場により決まります。
| 項目 | フリーゾーン | メインランド |
|---|---|---|
| 外資所有 | 100%可能 (当初から) |
100%可能 (2021年〜) |
| 営業範囲 | FZ内+国際のみ | UAE国内 +国際全域 |
| 区域 | 30以上 (JAFZA等) |
ドバイ全域 |
| 適した 事業 |
輸出入業務 国際サービス |
店舗運営 地元取引 |
| 対応 活動数 |
区域により 異なる |
1,000以上 |
出典:Dubai Department of Economy and Tourism: 「Business Licensing Overview」(December 2024)、UAE Ministry of Economy and Tourism: 「Establish Companies in the UAE」(November 2025)
輸出入ビジネスや国際取引を中心とする人はフリーゾーンが適しています。
EC事業、ITサービス、コンサルティング、デジタルマーケティングなど、UAE国外の顧客を主な取引先とする事業では、フリーゾーンの税制優遇と手続きの簡素性が最大の利点となります。設立期間は3〜5営業日と短く、少人数での運営を想定する場合もコスト面で有利です。また、関税免除や外国人労働者の雇用制限がないため、柔軟な人材配置が可能です。
一方、UAE国内市場で直接営業したい人はメインランドを選択すべきです。
飲食店、小売店、建設業、不動産仲介など、ドバイ市内での店舗運営や地元企業との直接取引を行う事業では、メインランド登記が必須となります。現地消費者へのアプローチや政府プロジェクトへの入札参加も、メインランド法人のみに認められています。ただし、2025年10月施行のフリーゾーン・メインランド営業許可制度により、フリーゾーン法人も年間5,000AED(約20万円)の許可料で一部の非規制業種においてメインランドでの営業が可能となりました。
事業規模の拡大を見据える場合、4名以上の従業員を雇用する予定があればメインランドの方がオフィス賃料を含めた総コストが抑えられるケースもあります。初期段階ではフリーゾーンで設立し、市場拡大後にメインランド進出を検討する段階的アプローチも有効な戦略です。
1-3 法人登記からライセンス発行までの流れが明確に制度化されている
ドバイの法人設立プロセスは、政府による明確な制度設計のもとで運用されています。
| 順序 | ステップ | 日数 |
|---|---|---|
| ① | 商号予約 | 1〜2日 |
| ② | 初期承認 | 3〜5日 |
| ③ | 最終発行 | 5〜7日 |
| FZ法人(合計) | 3〜5日 | |
| ML法人(合計) | 7〜10日 | |
出典:Invest in Dubai (IID) Platform: 「Dubai Mainland Business Set-up」(December 2024)、Dubai Department of Economy and Tourism: 「Dubai Licences & Permits – Business, Commercial」(December 2024)
メインランド法人のライセンス発行には通常7〜10営業日を要し、フリーゾーン法人では3〜5営業日で完了します(*4)。国際フリーゾーン機構(IFZA)の標準的な法人登記は、全書類が揃った時点から3〜5営業日で完了します。
プロセスは段階的に進行します。まず商号予約に1〜2日、初期承認に3〜5日、最終ライセンス発行に5〜7日を要します(*5)。この明確なタイムラインにより、申請者は計画的に設立準備を進められます。
ただし、申請の遅延原因の67%は書類の不備や準備不足に起因します。必要書類が正確に準備されていれば、規定の日数内でライセンスが発行されます。
医療、教育、飲食業などの特定業種では、関連規制機関からの追加承認が必要となり、手続き期間が延長される場合があります。これらの業種では、事前に所管機関の要件を確認することが重要です。
1-4 各ステップは政府機関がデジタル化され効率的に進められる
ドバイの法人設立手続きは、政府のデジタル化戦略により高度に効率化されています。
| 指標 | 実績値 |
|---|---|
| 処理件数/日 (DEDサービス) |
2,000件超 |
| 申請成功率 (単純事業) |
92%超 |
| 初期承認 (デジタル経由) |
120分 以内 |
| システム稼働 | 24h/365日 |
| 紙資源節約 (スマート構想) |
100万本 樹木相当 |
出典:Invest in Dubai (IID): 「Business set-up services」(December 2024)
Invest in Dubai(IID)プラットフォームは、オンライン登録のすべてのステップを統合した公式デジタルプラットフォームです(*6)。申請から承認まで完全にオンラインで完結します。
スマート・ドバイ構想により、ドバイ政府は政府取引の100%デジタル化を目指しており、この取り組みにより100万本の樹木に相当する紙資源が節約されています。ドバイ経済観光局(DED)のオンラインサービスは1日あたり2,000件以上の申請を処理し、単純な事業活動については成功率が92%を超える水準を維持しています。
多くの申請は、デジタルプラットフォームを通じて120分以内に初期承認を受けることができます。このスピードは、従来の紙ベースの手続きと比較して大幅な時間短縮を実現しています。オンラインシステムは24時間365日利用可能で、申請者は自身のペースで手続きを進められます。
政府機関とのやり取りもプラットフォーム内で完結し、進捗状況をリアルタイムで確認できる透明性の高いシステムとなっています。
法人設立のメリット5選|法人税ゼロで100%外資OK

2-1 法人税ゼロの税制が事業利益を最大化できる
ドバイを含むUAEでは、2023年6月1日から連邦法人税9%が導入されましたが、課税所得が37.5万AED(約1,500万円)を超える部分にのみ適用されます(*7)。37.5万AED(約1,500万円)までの課税所得には0%の税率が適用されるため、小規模事業は実質的に免税となります。
フリーゾーンで設立した適格フリーゾーン法人(QFZP)は、5つの条件を満たすことで適格所得に対して0%の法人税率が適用されます(*8)。条件は、有効なフリーゾーンライセンスの保有、UAE内での十分な実体維持、適格所得のみの計上、9%税率を選択していないこと、移転価格規制の遵守です。
デミニマスルールにより、非適格収入が以下のいずれか低い方を超えなければ0%税率が維持されます。その基準は、500万AED(約2億円)または総収入の5%です。このルールにより、フリーゾーン法人は一定範囲内での柔軟な事業運営が可能となっています。
非適格主体の場合でも、37.5万AED(約1,500万円)までは0%、超過分のみ9%の税率が適用されます。他の先進国と比較して税負担が大幅に低く、事業利益の最大化に有利な環境が整っています。
2-2 100%外資所有が可能で経営の自由度が高い
2020年連邦政令第26号(2015年連邦法第2号の改正)により、2022年1月2日から商業会社の100%外資所有が認められました(*9)。ドバイでは、戦略的影響を持つ経済活動を除き、1,000以上の商業・工業活動で100%外資所有が可能です。
フリーゾーンでは設立当初から100%外資所有が常に認められており、メインランド法人は2021年6月1日からこの権利を獲得しました。完全所有により、事業方針の変更、資本構成の調整、利益配分の決定などを迅速に実行できます。
ローカルパートナーとの調整が不要となり、グローバル戦略との整合性を保ちながら事業を展開できる環境が整っています。
2-3 国際ビジネスに強い信用力を持てる
ドバイ国際金融センター(DIFC)は、大手銀行、保険会社、投資運用会社が集積する金融ハブとして機能しています。DIFC内に法人を設立することで、国際的に認知された金融センターの一員としての信頼性を即座に獲得できます。
UAEは100カ国以上と二重課税回避条約を締結しており、一部の情報源では140カ国以上との条約が報告されています。これらの条約により、国境をまたぐ取引における源泉徴収税が軽減または免除され、国際ビジネスにおけるコスト削減が実現します。
DIFCは、独立した英語による法的枠組みとドバイ金融サービス機構(DFSA)の規制を提供しています。この透明性の高い法規制環境は、国際投資家に確実性と信頼性を提供します。英語が公用語として機能する法制度により、契約解釈や紛争解決において国際標準に沿った対応が可能です。
ドバイの法人は、中東市場へのゲートウェイとしての地理的優位性と、国際的な法規制環境を組み合わせた独自のポジションを持ち、グローバルビジネスの展開に有利な立場を確立できます。
2-4 ビザや居住面の優位性が長期運用に有利となる
有効な商業ライセンスを持つ事業主は、配偶者、子ども(息子は25歳まで、娘は結婚まで)を扶養家族としてビザ申請できます(*11)。一部のケースでは両親も扶養対象となります。
家族ビザのスポンサー要件は、月給4,000AED(約16万円)以上、または住居費込みで3,000AED(約12万円)以上の収入です。
両親をスポンサーする場合、より高い所得要件として月給1万〜2万AED(約40万〜80万円)以上が求められ、包括的な健康保険の加入が必須です。法人オーナーは、5万AED(約200万円)以上の株式資本を投資していれば、投資家・パートナービザの対象となります。
投資家・パートナービザは1〜2年ごとに更新可能で、適格な起業家は5〜10年のゴールデンビザ取得ルートも利用できます。ゴールデンビザは長期滞在を保証し、事業の安定的な運営と家族の定住を支援します。
ビザ制度の柔軟性により、事業主は家族とともにドバイに居住しながら、中長期的な事業計画を実行できる環境が整っています。スポンサーシップ制度は、従業員の雇用にも適用され、事業規模に応じた人材確保が可能です。
2-5 安定した事業環境とインフラが経営を支える
ドバイのGDPは2024年の最初の9カ月間で前年比3.1%成長し、3,394億AED(約13兆5,760億円)に達しました(*12)。2025年第1四半期のGDPは1,197億AED(約4兆7,880億円)となり、前年同期比で4%の成長を記録しました(*13)。この成長は2024年の年間成長率3.9%の継続を示しています。
5Gインフラへの投資も積極的に進められています。e& UAEは2025年に地域初の商用5Gネットワークスライシングサービスを開始し、製造業、公共安全、物流分野の企業に特化した接続環境を提供しています(*14)。UAE通信事業者は5Gインフラに30億AED(約1,200億円)以上を投資し、2022年までに5G人口カバー率はほぼ100%に達しました。
この高速通信環境により、データ集約型ビジネス、リモートワーク、クラウドサービスの利用が円滑に行えます。経済成長と最先端のデジタルインフラの組み合わせは、長期的な事業運営において競争優位性を提供し、企業の生産性向上と市場拡大を支える基盤となっています。
ドバイ法人設立の流れ|7ステップで手続き完了

| STEP | 手続き内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1 | フリーゾーン/メインランド選択 ライセンス種類決定(6種類) |
– |
| 2 | 会社名予約・承認 費用:620AED(約2.5万円) |
10分 〜2日 |
| 3 | 必要書類準備・提出 パスポート/MOA/AOA等 |
– |
| 4 | ライセンス申請・承認 初期承認→最終発行 |
3〜5日 +5〜7日 |
| 5 | 法人登記・メンバー登録 費用:500〜4,000AED |
25〜30分 |
| 6 | オフィス住所登録 Ejari登録:120AED |
– |
| 7 | 銀行口座開設・ビザ申請 ビザ費用:4,000〜7,500AED |
2〜4週間 |
| 合計所要期間(書類完備の場合) | 3〜5日 (FZ) 7〜10日 (ML) |
|
出典:UAE Ministry of Economy and Tourism: 「Establishing business in the UAE」(November 2025)、Dubai Land Department: 「Company registration application」(2025)
3-1 STEP1|事業形態と法人区分(フリーゾーン/メインランド)を決める
ドバイで法人を設立する最初のステップは、事業形態と法人区分の選択です。
UAEには6種類のライセンスが存在します。工業ライセンス、商業ライセンス、工芸ライセンス、観光ライセンス、農業ライセンス、専門ライセンスです(*15)。
事業活動の選択肢は幅広く、UAEは2,000以上の経済活動から選択可能なビジネスライセンスリストを提供しています。各活動には特定のライセンス種別が対応しており、事業内容に応じた適切なライセンスを取得する必要があります。
メインランド法人はUAE国内および国際市場で制限なく営業できますが、フリーゾーン法人はフリーゾーン内と国際市場でのみ営業可能です。メインランド法人はドバイ市内での店舗運営、地元企業との直接取引、政府プロジェクトへの入札など、国内市場への完全なアクセスを持ちます。
一方、フリーゾーン法人は輸出入業務や国際サービス提供に特化し、税制優遇措置を最大限に活用できます。事業の性質、ターゲット市場、成長戦略に基づいて、どちらの区分が最適かを慎重に判断することが重要です。
3-2 STEP2|会社名を予約して利用可能かを確認する
会社名の予約は、法人設立プロセスの正式な第一歩です。
Invest in Dubaiポータルまたはサービスセンターを通じてオンライン申請すると、商号予約サービスは10分以内に完了します(*16)。DED(ドバイ経済観光局)を通じた予約の場合、承認には通常1〜2日を要します(*17)。
商号予約の費用は620AED(約24,800円)で、外国語名の登録には1,000〜3,000AED(約4万〜12万円)の追加費用が発生します。予約された商号は一定期間保持されますが、その期間内に商業ライセンスを正式に取得して登録を完了させる必要があります。予約期間を超えると自動的に失効します。
商号は事業内容を反映し、既存企業との重複を避ける必要があります。また、UAE文化や宗教に配慮した名称であることが求められます。商号の適格性はオンラインシステムで即座に確認でき、利用不可の場合は代替案を提出します。
商号予約は法人の公式な識別子となり、その後のライセンス申請、銀行口座開設、公式文書に使用されるため、慎重に選択することが重要です。
3-3 STEP3|必要書類を準備して申請手続きを進める
法人設立には、個人書類と法人書類の両方を準備する必要があります。有限責任会社(LLC)の登録には、商業ライセンス、定款・基本定款、修正附則(ある場合)、オーナーの有効なパスポート、居住許可証、UAE IDが必要です(*18)。
個人書類には、有効期限が最低6カ月以上あるパスポートのコピー、UAEビザまたは入国スタンプのコピー、エミレーツIDのコピー(居住者の場合)、居住証明(公共料金請求書、賃貸契約書、公式文書)が含まれます。法人書類には、事業計画書、基本定款(MOA)、定款(AOA)、商号承認証明書が必要です。
書類は原本または認証済みコピーで提出する必要があります。外国語の書類は、公認翻訳者によるアラビア語または英語への翻訳が必須です。不完全な書類提出はプロセスの遅延や申請却下の主要因となるため、提出前にすべての要件を確認することが重要です。
一部のフリーゾーンでは、より簡素化された書類要件を提供しており、事前に各区域の具体的な要件を確認することが推奨されます。
3-4 STEP4|ライセンスを申請し承認を受ける
ライセンス申請プロセスは段階的に進行します。初期承認段階は、書類の完全性と事業活動の種類に応じて3〜5営業日を要します(*19)。すべての承認が整った後、最終的なライセンス発行には5〜7営業日を要します。
医療、教育、飲食業など特定の事業活動では、関連規制機関からの追加承認が必要となり、手続き期間が延長されます。これらの業種では、保健省、教育・知識省、ドバイ自治体など、所管機関からの事前承認を取得する必要があります。追加承認には数日から数週間を要する場合があるため、事前に要件を確認し、早期に手続きを開始することが重要です。
ライセンス申請は、Invest in Dubaiポータルまたは各フリーゾーンの公式プラットフォームを通じてオンラインで提出できます。申請後、進捗状況をリアルタイムで追跡でき、追加情報が必要な場合は通知が届きます。
承認されたライセンスは、法人の正式な営業許可となり、銀行口座開設やビザ申請の前提条件となります。ライセンスには有効期限があり、期限前に更新手続きを行う必要があります。
3-5 STEP5|法人登記とメンバー登録を行う
法人登記には、事業形態に応じた登録費用が発生します。
- 個人事業の登録費用:500AED(約2万円)+VAT、サービスパートナー費用
- 有限責任会社の登録費用は:2,000AED(約8万円)+VAT、サービスパートナー費用
- 外国人株主を含む法人の登録費用:4,000AED(約16万円)+VAT、サービスパートナー費用
が必要です(*18)。
サービスセンターでの処理時間は25〜30分です。1つのライセンスに登録できる株主数は最大50名です。株主情報、持株比率、役員構成を正確に登録する必要があります。
法人登記により、会社は法的な主体として認められ、契約締結、資産保有、訴訟手続きなどの法的行為が可能となります。登録情報は公的記録として管理され、株主や役員の変更がある場合は更新手続きが必要です。
登記完了後、登録証明書が発行され、これが法人の正式な存在証明となります。この証明書は銀行口座開設、オフィス契約、ビザ申請など、その後のすべての手続きで提示が求められます。
3-6 STEP6|オフィス住所を契約または所在地を登録する
すべての法人には、正式な事業所在地の登録が義務付けられています。賃貸物件の場合、Ejari登録がすべての賃貸物件に義務付けられており、商業物件も対象です(*20)。Ejari登録により、賃貸契約は法的に有効となります。
Ejari登録費用は120AED(約4,800円)で、知識・イノベーション費用が含まれます。必要書類は、署名済み原本の賃貸契約書、テナントのエミレーツID、パスポートのコピー、ビザページのコピー、保証金領収書、DEWAの請求書または接続番号です。
フリーゾーンのフレキシデスク費用は、地域により異なります。IFZAは年間1.29万AED(約51.6万円)から、Meydanは年間1.45万AED(約58万円)から、DMCCは年間2万〜3万AED(約80万〜120万円)、JAFZAは年間2.2万〜2.8万AED(約88万〜112万円)です。
従来型のオフィススペースの賃料は、ドバイで年間5万〜15万AED(約200万〜600万円)に加えて、公共料金が月額1,000〜3,000AED(約4万〜12万円)かかります。事業規模、業種、予算に応じて、最適な所在地形態を選択することが重要です。
3-7 STEP7|銀行口座開設とビザ申請を完了させる
法人銀行口座の開設には、書類の完全性と事業の複雑さに応じて通常2〜4週間を要します(*21)。
必要書類は、有効なUAE商業ライセンス、設立証明書、基本定款・定款、株主のパスポートコピーとエミレーツID、居住証明、事業計画書、オフィス賃貸契約書(Ejari証明書)です。
従来型銀行の最低預金要件は5万〜20万AED(約200万〜800万円)ですが、フィンテック口座では残高要件がないケースもあります。中央銀行は厳格なKYC(顧客確認)とAML(マネーロンダリング防止)ポリシーを全UAE銀行に適用しています。
ビザ処理のタイムラインは、入国許可証の発行に2〜4週間、その後、健康診断、エミレーツID申請・生体認証、GDRFA(居住外国人総局)を通じたビザスタンプの順に進みます。投資家・パートナービザの費用は4,000〜7,500AED(約16万〜30万円)で、従業員ビザは職種により低額です。
銀行口座とビザの両方が揃うことで、法人は完全に機能し、事業活動を本格的に開始できる状態となります。
ドバイの法人設立費用はいくらか?内訳と相場を具体的に紹介

4-1 ライセンス費用と住所利用料が主要コストを構成する
ドバイの法人設立において、ライセンス費用と事業所在地費用が主要なコストとなります。
| 費用項目 | 金額(AED/円) |
|---|---|
| DED登録費用 | 600AED(約2.4万円) |
| 一般貿易ライセンス | 1.5万AED(約60万円) |
| 専門ライセンス | 1〜1.5万AED(約40〜60万円) |
| 商号予約 | 620AED(約2.5万円) |
| 初期承認費用 | 1,000〜3,000AED(約4〜12万円) |
| MOA作成・公証 | 2,000〜4,000AED(約8〜16万円) |
| オフィスリース(年間) | 2〜5万AED(約80〜200万円) |
| 総費用目安 | 1.5〜5万AED (約60〜200万円) |
出典:Dubai Department of Economy and Tourism: 「Business licensing fees」(2024-2025)
DEDライセンス登録費用は600AED(約24,000円)、知識費用が10AED(約400円)、イノベーション費用が10AED(約400円)です(*22)。一般貿易活動のライセンス費用は1.5万AED(約60万円)です。
専門ライセンスの発行費用は1万〜1.5万AED(約40万〜60万円)です。商号予約費用は620AED(約24,800円)で、外国語名の登録には1,000〜3,000AED(約4万〜12万円)の追加費用がかかります。初期承認費用は1,000〜3,000AED(約4万〜12万円)です。
基本定款(MOA)の作成と公証費用は2,000〜4,000AED(約8万〜16万円)です。メインランドのオフィススペースリース費用は、場所と規模により年間2万〜5万AED(約80万〜200万円)です。DED事業ライセンスの総費用は、すべてのコストを含めて1.5万〜5万AED(約60万〜200万円)となります。
これらの費用は、事業活動の種類、法人形態、オフィス立地により変動します。予算計画を立てる際は、これらの基本費用に加えて、次項で説明する変動費用も考慮する必要があります。
4-2 株主数やビザ取得の有無で総額が大きく変動する
法人設立の総費用は、株主構成とビザ要件により大きく変動します。
| 費用項目 | 金額(AED/円) |
|---|---|
| 投資家・パートナービザ | 4,000〜7,500AED (約16〜30万円) |
| 従業員ビザ | 2,000〜3,500AED (約8〜14万円) |
| 外国人株主含む登録 | 4,000AED (約16万円)+VAT |
| ローカルLLC登録 | 2,000AED (約8万円)+VAT |
| MOA公証 (資本金10万AED以下) |
300AED/署名 (約12,000円) |
| MOA公証 (資本金10万AED超) |
資本金の0.5% (最大1.5万AED=約60万円) |
| 基本ビザクォータ | 1〜6ビザ (小規模FZ設立時) |
出典:UAE Ministry of Human Resources and Emiratisation (MoHRE): 「Visa quota regulations」(2025)
ビザクォータは、事業設立要因に直接依存します。具体的には、オフィススペースの規模、事業活動の種類、法人分類です(*23)。小規模フリーゾーン設立の基本ビザクォータは1〜6ビザで、大型オフィスや倉庫では増加します。
投資家・パートナービザの費用は4,000〜7,500AED(約16万〜30万円)です。
従業員ビザの費用は、当局とライセンス種別により2,000〜3,500AED(約8万〜14万円)です。外国人株主を含む法人の登録費用は4,000AED(約16万円)+VATで、ローカルLLCの2,000AED(約8万円)と比較して高額です。
基本定款の公証費用は、資本金10万AED(約400万円)以下の場合、署名1件あたり300AED(約12,000円)です。資本金が10万AED(約400万円)を超える場合、資本金額の0.5%(最大1.5万AED=約60万円)となります。
株主数が多い法人や、複数のビザを必要とする法人では、これらの費用が累積し、総費用が大幅に増加します。事業計画を策定する際は、初期投資額だけでなく、株主構成と人員計画に基づいた詳細な費用見積もりが不可欠です。
ドバイの法人設立に必要な書類をチェックリストで確認

5-1 パスポートや住所証明など基本書類が必須となる
法人設立には、個人書類と法人書類の両方が必要です。
出典:Dubai Department of Economy and Tourism: 「Document requirements for business setup」(2024-2025)
すべての書類は、原本または認証済みコピーで提出する必要があります。外国語の書類は、公認翻訳者によるアラビア語または英語への翻訳が必須です。書類の不備は申請遅延の主要因となるため、提出前にすべての要件を満たしているか入念に確認することが重要です。
各フリーゾーンや銀行により追加要件が異なる場合があるため、事前に具体的なチェックリストを入手し、漏れなく準備することが推奨されます。
5-2 日本人が準備でつまずきやすい追加書類を事前に把握する
外国書類の認証プロセスは複雑で、日本人申請者がつまずきやすい部分です。認証プロセスは以下の順序で進みます。
|
【通常ルート】5段階認証
|
|
1
本国の公証人による認証
2
州・地方当局による認証
3
発行国の外務省による認証
4
本国のUAE大使館による認証
5
UAE外務省による最終認証
|
日本を含むハーグ条約加盟国の場合、アポスティーユ認証により手続きが簡素化されます。
|
【簡略ルート】アポスティーユ認証
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1
日本外務省でアポスティーユ取得
2
UAE外務省での最終認証
|
アポスティーユは、加盟国が受け入れる標準化された証明書です。ドバイの公証人費用は、書類の種類と価値により署名1件あたり100〜1.5万AED(約4,000〜60万円)です(*25)。アラビア語または英語以外の書類には、公式翻訳と認証が必須です。
現在の雇用主の下で働きながら事業を設立したいUAE居住者は、現在のスポンサーからの異議なし証明書(NOC)が必要です。NOCなしで事業を設立すると、ビザや雇用状況に影響を及ぼす可能性があります。日本で発行された書類(卒業証明書、無犯罪証明書など)を使用する場合は、日本外務省でのアポスティーユ取得後、UAE外務省での最終認証が必要となります。
認証プロセスには数週間を要するため、早期に準備を開始することが重要です。
FAQ|ドバイで法人を設立する時によくある質問
- Qドバイ法人は銀行口座審査に落ちることはある?
- A
はい、審査落ちは発生します。
UAEの銀行口座却下の67%は書類の不備や準備不足が原因です。却下理由として、書類の不完全性や矛盾、最終受益者(UBO)情報の不明確さ、曖昧な事業計画、高リスク事業活動(暗号通貨、幅広い商品を扱う一般貿易、制裁国との取引)、物理的なオフィス不在、銀行取引明細書の不足や資金源の不明確さがあります。UAE中央銀行は全銀行に厳格なKYCとAMLポリシーを適用しており、特定国籍者は国際規制により厳格な審査を受けます。
事前に完全な書類を準備し、透明性の高い事業計画を提示することが承認の鍵となります。
- Qドバイ法人設立の費用は見積もりと差が出ることはある?
- A
はい、費用は変動します。
標準的な設立費用は1.5万〜5万AED(約60万〜200万円)ですが、事業活動により異なります。一般貿易は1.5万AED、不動産は5,000〜2.5万AED、建設請負は1万AEDが目安です。隠れた費用として、外国語商号費用1,000〜3,000AED、MOA公証費用300〜1.5万AED、Ejari登録120AED、専門コンサルタント費用などがあります。
年間更新は8,000〜1.5万AED、期限超過時は月額200AEDの延滞料が発生します。
- Qドバイ法人の設立は最短どれくらいで完了し遅延リスクはある?
- A
フリーゾーン法人は3〜5営業日、メインランド法人は初期承認に7〜10営業日、全ステップで2〜4週間です。
IFZAは標準申請で3〜5日、一部のゾーンは48時間の特急サービスを提供しています。遅延の主要因は、申請遅延の67〜73%が書類の不備、複数の省庁承認が必要な複雑な事業活動(追加2〜5日)、国際書類が必要な複数株主(1〜3日)、商号予約の問題(2〜7日)、繁忙期の申請(1〜2日)です。
入念に準備した申請者は3〜4日で完了しますが、不完全な申請は3〜6週間に延びることがあります。書類の正確性が完了速度の最大の決定要因です。
まとめ|ドバイ法人の設立を成功させるコツを再確認
ドバイでの法人設立は、フリーゾーンとメインランドの選択から始まり、7つのステップで体系的に完了します。法人税は課税所得37.5万AED(約1,500万円)まで0%、適格フリーゾーン法人は適格所得に対して0%税率が適用され、100%外資所有が全面的に認められています。
標準的な設立費用は1.5万〜5万AED(約60万〜200万円)で、書類が完全であればフリーゾーンで3〜5日、メインランドで2〜4週間で完了します。
成功の鍵は、事業計画に基づいた適切な法人区分の選択、書類の事前準備と認証手続きの早期開始、銀行口座開設要件の理解と準備です。ドバイの法人設立制度は高度にデジタル化され、透明性の高いプロセスで運用されています。
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出典元
- *1 Dubai Department of Economy and Tourism:「Business Licensing Overview」(December 2024)
- *2 UAE Ministry of Economy and Tourism:「Establish Companies in the UAE」(November 2025)
- *3 Dubai Media Office:「Dubai Launches Free Zone Mainland Operating Permit」(October 2025)
- *4 Invest in Dubai (IID) Platform:「Dubai Mainland Business Set-up」(December 2024)
- *5 Dubai Department of Economy and Tourism:「Dubai Licences & Permits – Business, Commercial」(December 2024)
- *6 Invest in Dubai (IID):「Business set-up services」(December 2024)
- *7 UAE Government Official Portal:「Corporate tax (CT)」(October 2025)
- *8 UAE Federal Tax Authority:「Corporate Tax Guide on Free Zone Persons」(2025)
- *9 UAE Government Official Portal:「Full foreign ownership of commercial companies」(June 2025)
- *10 UNCTAD Investment Policy Hub:「Opens to 100 per cent foreign ownership in most sectors」(August 2025)
- *11 UAE Government Official Portal:「Residence visa for doing business in the UAE」(December 2024)
- *12 Digital Dubai:「Dubai’s GDP expands by 3.1% in the first nine months」(February 2025)
- *13 Dubai Media Office:「Dubai’s GDP reaches AED119.7 billion in Q1 2025, rising 4%」(August 2025)
- *14 e& UAE:「e& UAE launches region’s first commercial 5G network slicing service」(July 2025)
- *15 UAE Ministry of Economy and Tourism:「Establishing business in the UAE」(November 2025)
- *16 Invest in Dubai:「Request to book a trade name」(December 2024)
- *17 Dubai Department of Economy and Tourism:「Reserve your trade name」(December 2024)
- *18 Dubai Land Department:「Company registration application」(2025)
- *19 Dubai Department of Economy and Tourism:「Issue a trade licence」(December 2024)
- *20 Dubai Real Estate Regulatory Authority (RERA):「Ejari Registration」(2025)
- *21 Central Bank of the UAE (CBUAE):「Banking regulations and KYC requirements」(2025)
- *22 Dubai Department of Economy and Tourism:「Business licensing fees」(2024-2025)
- *23 UAE Ministry of Human Resources and Emiratisation (MoHRE):「Visa quota regulations」(2025)
- *24 Dubai Department of Economy and Tourism:「Document requirements for business setup」(2024-2025)
- *25 UAE Ministry of Foreign Affairs:「Attestation of Official Documents and Certificates」(2025)



